【No.289】今年経済成長は…下方修正・景気失速…来年は景気後退…日本は…
2022.12.20
22年7月26日
国際通貨基金(IMF)が世界経済の成長率見通しを再び引き下げた。インフレや利上げが続く欧米など主要国の多くで下方修正を繰り返している。新型コロナウイルス禍からの世界経済の回復は曲がり角を迎えた。欧州のエネルギー不足や新興国の債務危機など不安要因を抱え、IMFのチーフエコノミストは世界同時不況のリスクを指摘している。2022年7月世界経済成長率は3.2%(前4月比-11.1)、起こる可能性の高いシナリオだと2022年は2.6%、2023年は2.0%と基本シナリオよりそれぞれ0.6、0.9㌽下回る。
ロシアから欧州へのガス供給の途絶や深刻な人手不足による世界的なインフレの長期化、金融引締めによる新興国や途上国の債務危機などの下振れリスクがある。米国の購買担当者景気指数(PMI)が47.5となって、不況の分かれ目となる50を割り込んだ。
22年10月11日
世界経済が失速する。IMFは11日改定の世界経済見通しで2023年の成長率見通を
下方修正し米欧、中国の経済を「失速」と表現した。インフレ抑制への世界的な利上げで、翌年度の予測としてはリーマン危機より悲観的だ。世界はインフレ懸念から、経済の落ち込みを警戒する局面に移った。新型コロナ禍から回復した局面は暗転し、世界経済の3分の1が景気後退に陥ると見る。失速の背景は急速な利上げにある。JPモルガン・チェース銀行が経済規模で加重平均した世界の政策金利は3%を超え、リーマン危機の08年以来の水準になった。今後の問題は世界的にインフレ圧力が強く、景気刺激の利下げが簡単にできないことだ。世界の高インフレ率が長引けば、IMFの政策金利 は2023年には5%を超えて、2024年も4.1%と高水準になると予想する。そして2023年の世界成長率が2%を割り込む確率を25%程度とみる。
22年11月18日
米債券市場で景気後退のシグナルとされる、短期2年もの国債の利回りが10年もの国
債を上回る「逆イールド」が40年ぶりの大きさになった。インフレ率が高止まりするなかでFRB(米連邦準備理事会)が景気を維持し、経済を軟着陸させることは極めて困難となった。因みに米国の購買担当者景気指数(PMI)が前月比1.9㌽低下、46.3㌽と好不況の分かれ目となる50を5ヶ月連続下回った。欧州の総合PMIも50割れが続き、高インフレと金融引締めによる需要落ち込みが米欧景気を揺さぶる。
22年11月23日
FRBは11月まで4会合連続で0.75%の利上げを実施してきたが、12月に利上げのペースは峠を越えた。民間でも物価の上昇がピークを超えたとみる専門家は多く、インフレ対応は転機迎えつつある。「次回の12月会合は0.5%に、2023年に入って2回の会合は0.25%に上げ幅を縮小し、その後は一旦利上げ停止する。」というFRBの議事要旨の公表をした。
22年12月12日
ニューヨーク連銀が発表した11月消費者調査では1年先の予想物価上昇率インフレは
5.2%と前月から0.7㌽下がって、1年3か月ぶりの低水準を記録した。住宅価格も今後さらに下落を続けるとの見方が強まった。13日米労働省が11月消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.1%と上昇したが、のびは5ヶ月連続で鈍化した。エネルギー価格を中心に高インフレは落ち着く兆しがあるが、賃上げは続いている。米労働市場の構造変化、特に高齢者の早期退職による深刻な人手不足が続けば、ハイテク業界で増えているレイオフも限定的で、インフレが高止まりする限り引締めは継続せざるをえない。14日のFRBの見通しでは到達金利は5.1%で、9月時点の4.6%から大幅に高まった。年明け以降0.25%ずつ利上げしても5.1%に到達するのは来年5月で、利下げはさらに先になる。景気の中立金利は米国では2%台なかばだが。米国の政策金利は23年中も中立金利の2倍を超える水準になる可能性がある。金融引締めは持続し景気を冷ます。経済協力開発機構(OECD)によると世界の成長率は2023年2.2%と2022年の3.1%から鈍化する。米国と欧州圏はゼロ%台の予測だ。中国は4.6%と持ち直しを見込むが、コロナ政策の余波や対中輸出規制の強化で下振れの恐れがある。2023年の日本は、インフレ対策に苦しみ急速な利上げで景気後退に陥る欧米に反して、物価上昇率は2022年より低下するが内需が景気を下支えして、0%台とされる潜在率を上回る成長を続け1%台の成長になると思われる。