【No.312】年末の日本株…為替は…金利は…国内景気好循環に乗せるぞ
2024.10.20
38,000円日経平均は、米大統領選、日本の衆議院選経過後の11月、政策変動に対する不透明感が払しょくされ40,000円台に上昇するが、為替の円高が外需のお重荷となり更なる高値には材料不足だ。
予測①40,000円…当面は利益確定売りや含み損解消売り、押し目買いが交錯する相場。日米金融政策に違いはあるが、今後の円安進行は限られる。内需株が上昇のけん引役で金融セクターは好調に推移する。
予測②40,000円台…米景気のソフトランディングが視野に入り市場は個別企業の業績に集まる。今後の金利高が追い風で銀行株は強気、円高恩恵を受ける小売食品等内需株も強く年末4万円超えもありえる。
予測③42,000円…3月期決算の企業が出揃う11月までは日経平均は4万円程度が上値だが、業績予想の上方修正が出くれば更に上昇、内閣支持率が上がれば海外投資家の買いを誘い45,000円まで上昇する。
以上は9月末までの予想だが、米国ソフトランディング、日本の選挙結果が大きく変更しなければ、景気の足元はしっかりしている。株価は4万円を固めて順調に推移するだろう。
予測④130円~135円…年末の対ドル相場は日米の金利差縮小に伴い中長期的に円高ドル安が進む。昨今の円安をけん引した円キャリー取引は変動率の高い相場環境では成立しない。長かった円安は一段落した。
予測⑤155円…対ドル相場は8月1㌦141円台まで上昇した。円相場は日銀の追加利上げで後退を受けて徐々に水準を切り下げている。年度末に155円程度が見込まれる。投機筋の円売りは買戻しを伴うが実需の円売りは一方通行で休みなく続く。円買いが広がりにくいのは日銀の追加利上げが控えているからだ。
3か月前と比較した国内景気の現状は大方が穏やかに拡大していると認識している。拡大の理由は個人消費の回復だ。厚生労働省が発表した6月の実質賃金は2年3か月ぶりに前年同月を上回り、賃上げで消費意欲が改善するとの期待が強い。春闘で高水準の賃上げ継続や物価高の落着きで実質賃金は7~9月以降もプラス基調が続くと予想する。半年後の国内景気についても穏やかな拡大が7割強と先行きへの期待は大きい。日銀は7月末に政策金利を0.25%引き上げ9月は据え置いた。追加利上げの時期は年内か来年1~3月が大方の予想だが、調達資金の動向も運転資金と設備投資が肩を並べた。いずれにしても金利水準が低いうちに長期の固定金利の借り入れを増やすなど利上げを見越した対策が急がれている。
日銀の植田総裁は9月20日に今後の金融政策について国内外の経済や物価を注視するとしたが、インフレ率は2年5か月にわたって日銀が掲げる物価目標の2%以上で推移している。追加利上げには賃金や消費の動向が重要となる。総務省が発表した消費者物価指数CPIは2020年を100として変動の大きい生鮮食料品を除く総合指数が108.7となり前年比2.8%上昇した。日本経済は完全にデフレ体質から脱したのか。政府はデフレ脱却宣言するために、①消費者物価指数②総合的な物価指数を示す国内総生産GDPデフレーター③賃金動向を映す単位労働コスト④需要と供給力の差を示す需給ギャップの4指針に注目している。4指標では需給ギャップのみマイナス圏内だ。消費や設備投資が伸び悩み、直近は4四半期連続で需要不足が続いている。政府・日銀が目指す賃金と物価の好循環の歯車も完全には回っていない。8月のCPIでもモノの上昇率は4.5%だったのに対しサービスは1.5%に留まった。人件費の上昇率に引っ張られたインフレが広がっているとは言いにくい。賃上げ効果の浸透はこれからだ。民間エコノミストの予測平均で2025年半ばにインフレ率は2%を割り込みと予測する。資源高などの影響が和らぐとみているためだ。2%の安定的インフレを保つためには持続的に賃金が上がり、個人消費が腰折れしない国内需要を作れるかにかかっている。次期政権に期待する経済・財政政策について緊急調査を実施したところ、多くの有識者・経営者の回答は「賃上げ促進」だった。デフレ経済からの脱却を実現し、経済を好循環に乗せる為に来年度も5%、いや6%の賃上げが求めれる。日銀・政府・企業一体となってこのチャンスを逃してはいられない。